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公立保育所のあり方
【2023年3月定例会 一般質問③】
2021年3月定例会において、私は「公立保育所の今後」と題した一般質問を行いました。ここでは、保育士の育休取得率の高さから、公立保育所の現場が慢性的な人手不足に陥っていることを念頭に、民間移管の推進を主張しました。また、民間保育所等への補助金は国・県が一定の割合を負担するため市の財政負担が抑えられることや、民間保育所等は延長保育・一時預かり・休日保育等のサービスが充実していることからも、公立保育所の民間移管は本市にとって有効な施策です。市は2007年に民間移管計画を策定し、3つの公立保育所を民間移管の対象としましたが、具体化したのは今津文協保育所1か所のみであり、計画対象外の19か所については、方針すら示されていません。
一方で、就学前児童数は大幅な減少傾向にあり、厚生労働省は保育所利用児童数のピークを2025年と見込むなど、全国的に待機児童問題は解消へ向かいつつあります。本市では依然として待機児童や利用保留児童が多く発生しており、私はまだまだ待機児童対策に注力する必要があると考えていますが、ピークアウト後を見据えた施策が求められるのは本市も同様です。私立の保育所や小規模保育施設の経営者等から、今後の入所児童確保に対する不安の声が聞かれるのは当然のことと思います。昨年12月定例会における、わが会派の澁谷議員の一般質問に対する答弁で、市は「定員を超えた受け入れの解消と併せて、公立保育所の規模等について、見直しを図っていく必要もある」との認識を示しました。あえて単純な言い方をしますと、「子供の数が減ってきたら、公立保育所の数を減らしていく」という方向性に言及したものと受け止めています
つまり、今後の本市における保育行政や施設総量のあり方を検討するうえで、大きなカギを握るのは、公立保育所だと言えます。そこで、2年前の一般質問における、私と市当局のやり取りを振り返ってみます。≪資料3≫をご覧ください。
まず私の質問です。「公立保育所の民間移管を進めるべきと考えますが、市の見解と今後の具体的な取組内容をお聞かせください。」
これに対するこども支援局長の答弁は「2026年度末閉園予定の今津文協保育所以外の2園に関しては、閉園の時期などについて改めて検討したい」「今後の公立保育所については、私立を含む総量としての適正配置や公立施設として果たすべき役割などの観点から、そのあり方について検討を行っていきたい」というものでした。
これに対し私は、既に民間移管対象として定められた3園についてしか言及がないことを指摘したうえで、市長に対し「ご答弁にあった“公立保育所のあり方”とは具体的にどのようなものなのか」と再質問しました。
これに対する市長の答弁は「民間でなくて公立保育所だから果たす役割、これに関して今私の考えをここでつまびらかにするのは、コンセンサスがまだ得られておりませんので、控えたいと思います。ただ、本当に今、たかのさんがおっしゃられたのは重要なことで、公立保育所としての役割が何かというコンセンサスをしっかり得た先に、次の何らかの計画といいますか、方針というのが見えてくる、そのように考えております。」
これに対して、私が「でしたら、ちょっと聞き方を変えますけれども、そのコンセンサスを得ていく、その検討の進め方であったりスケジュール感、これについてはどのようにお考えかというところをお示しいただきたい。」と再々質問したところ、
市長は「これは、こども支援局が主体的にやるというのではなくて、市長の私がリーダーシップを持って、そして庁内でまずもんでいくというようなことであります。スケジュールに関しては、今ここで、これもまたコンセンサスの要るものでありますけれども、ボールは私のところにあるんだろうなという認識はしております。」と答弁されました。
公立保育所のあり方を検討する必要性は認めながらも、その内容や、スケジュール感については、コンセンサスを得られていないことを理由に、具体的なお答えをいただけませんでした。あれから2年が経過しました。この状態のままで任期を終えるわけにはいかないという想いから質問します。
①公立保育所のあり方について、2021年3月定例会以降に行われた議論・検討の状況をお聞かせください。
〇答弁要旨〇
公立保育所を含む、これからの西宮市の幼児教育・保育のあり方を本市の重要行政課題として令和3年4月に副市長をはじめ、政策局、こども支援局、教育委員会の3局からなる庁内検討会を設置し検討を進めてまいりました。また、庁内検討会における議論と並行して、学識経験者や幼児教育・保育の関係者とのヒアリング、協議を重ねてまいりました。令和4年9月には、検討の中間報告として、教育こども常任委員会でその内容を報告しております。
②公立保育所の今後について、最新の方針や考え方をお示しください。
〇答弁要旨〇
議員のご説明にもありましたとおり、本市の就学前児童数は減少し続けていることから、待機児童対策を進める一方で、今後予想される保育ニーズのピークアウトを見据えた将来の幼児教育・保育のあり方を検討していく必要がありました。公立保育所、公立幼稚園につきましては、障害のある子供の支援を含めた教育・保育や在宅で子育てされている方の支援など、地域における幼児教育・保育の拠点施設としての役割を果たすとともに、教育・保育ニーズに対する受け皿としての需給調整機能を担っていく必要があると考えております。こうした公立園の役割を果たしながら、より効率的な運営を行うため、今後、公立保育所と公立幼稚園の統合などによる再編を進めていくこととし、基本方針等を取りまとめて、今定例会中にお示ししたいと考えております。
③その中で、公立保育所の民間移管を進める考えはあるのでしょうか。既に計画に掲げられた朝日愛児館・鳴尾北保育所と、それ以外の保育所に分けてお答えください。
〇答弁要旨〇
公立保育所23園のうち、芦原保育所につきましては令和7年度末、今津文協保育所につきましては令和8年度末にそれぞれ閉園いたします。さらに、民間移管対象園である朝日愛児館、鳴尾北保育所につきましても、今定例会でお示しします基本方針で具体的な閉園時期をお示ししたいと考えております。残りの19園のうち、一部は公立幼稚園と統合し公立認定こども園に再編いたします。その他の園につきましては、待機児童対策として定員を超えた受入れを行っていることから、その解消に目途が立った段階で、本来の定員に応じた受入体制に戻してまいります。さらに、地域の就学前児童数や保育需要の状況を踏まえ、順次、定員・規模の縮小を図ってまいります。
■意見・要望
2年前の時点では、あり方を検討する必要性はお認めいただきながらも、具体的な内容やスケジュール感については明言いただけませんでした。それから検討を重ね、今回、方針を明確に打ち出すこと自体は評価したいと思います。基本方針等を今定例会中に示すということですので、詳細については教育こども常任委員会での議論に委ねます。
目指す姿を打ち出すことは確かに大切な第一歩ですが、そこで示される公立保育所と幼稚園の統合・再編は、決して容易な取り組みではありません。想定通りに進捗するのかどうか、状況を注視するとともに、必要な提言を続けていく所存です。市の方針はこれだと明示するわけですから、数園を再編しただけでストップ、とか、気づけば全く別の方向に進んでいた、といったことのないように、原理・原則を大切にして取り組んでください。
民間移管についての答弁は、計画で対象と定めた3園以外では、当面民間移管を行うつもりはない、という意味で受け止めました。保育ニーズの需給調整機能と位置付けるなら、一定数の公立保育所を抱えておく必要があるという考え方は理解できますし、現時点で異を唱えるつもりはありません。ただ、先に述べた通り、本当に公立保育所の再編・統合が計画通りに進捗するのかどうかは不透明です。もし、再編・統合が進まず、多くの公立保育所が今と同じような規模感で存続するなら、やはり質問で述べた理由から、民間移管を推し進めるべきです。今後も公立保育所の民間移管は選択肢の一つとして残しておいていただくよう、要望します。
ご答弁の中で、関係者とのヒアリング・協議を重ねてきたとのお言葉がありましたが、幼児教育・保育は市だけで完結する施策ではなく、私立保育所・私立幼稚園等との協力体制があってこそ成り立っています。こうした関係各所との情報共有を常に意識し、密な連携を図るよう要望しておきます。昨日、田中まさたけ議員が取り上げていらっしゃいましたように、3才の1号園児を公立認定こども園で受け入れるという方針は、理解を得難いでしょうし、私立幼稚園との信頼関係を毀損しかねません。本件に限らず、市の幼児教育・保育施策においては、待機児童問題に注目が集まっていることから、どうしても保育所を中心に議論が進んでいるような印象を受けますが、私立幼稚園も預かり保育等の実施を通じて待機児童の解消に寄与していただいておりますし、幼稚園に通わせたいというご家庭やそのこどもも、同じように大切にされるべきです。私立幼稚園を直接管轄しているのが兵庫県だとはいえ、情報共有や各種支援策等については、幼稚園型認定こども園を含む私立幼稚園、そして地域型保育施設等にも、施設の種別を問わず実施するよう要望しておきます。