西宮市議会議員 ≪無所属・34才≫

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満池谷火葬場の受付時間延長

【2022年9月定例会 一般質問①】

≪資料1≫をご覧ください。西宮市満池谷火葬場は、本市に存在する唯一の火葬場で、年間の使用件数は約4,500件、うち市民の使用が98%程度を占めています。火葬を行うには、葬儀業者等による申込が必要ですが、現在、本市の申込受付方法は電話のみで、受付時間は9時~17時30分です。そのため、火葬の対象となる方が夕方以降に亡くなった場合は、次の日の朝まで火葬場の使用時間を確定させることができません。火葬場の使用時間が決まらなければ、葬儀の日程を決めることができず、会葬者への案内も行えません。特に遠方からの会葬者に対しては、早めに日程を知らせる必要がありますが、実際には火葬場の予約待ちで、一晩待たされてしまう状況が発生しています。遺族はただでさえ大切な人を亡くした喪失感を抱いている中、日程が決まらないことに対して大きな精神的な負担を強いられており、市民や葬儀業者から改善を求める声が寄せられています。

近隣市では、大半が24時間の申込受付体制を整えています。神戸市・芦屋市はWEB予約、尼崎市は電話予約システム、宝塚市は時間外のみ防災センターで電話予約を受付する仕組みです。現在、満池谷火葬場は五輪・日本管財グループが指定管理者に選定されていますが、今年度で5年間の指定管理期間が満了します。このタイミングを一つのきっかけに、本市においても早期に24時間の申込受付体制を整えるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

本市の満池谷火葬場の受付業務につきましては、年間365日、年中無休で実施しているところですが、議員ご指摘のとおり、受付時間は、午前9時から午後5時30分までとなっております。神戸市、尼崎市、芦屋市、宝塚市などの近隣市では、WEBシステムや夜間窓口での受付など、手法の違いはありますが、24時間、火葬場の受付業務を実施しており、本市だけが対応できていない現状でございます。

 これまで、本市においても、他市の導入事例などを参考に24時間受付について検討を重ねてまいりましたが、FAXや留守番電話といった手法では、火葬炉の空き状況が把握できないこと、また、WEBでの予約システムの導入には、システム構築や運用に高額な経費が必要になるなど、費用対効果の観点から、システムの導入に踏み切れなかった経過がございます。

 しかしながら、近年は、他市においても、WEBによる予約システムの導入実績が増えてきており、また、火葬場の予約に特化した比較的低コストのシステムを導入している自治体もあることから、本市におきましても、市民サービスの向上につながるよう、WEBシステムの導入を基本に24時間受付体制を整備してまいります。

■意見・要望

「24時間の申込受付体制を整備する」とのご答弁、とても前向きに受け止めています。ご答弁に沿って、確実に整備を進めてください。本件は、実際にお困りの方からご相談を頂き、私が議員になった直後から、会派の予算要望等を通じて繰り返し対応を求めてまいりました。それらに対してはこれまで「検討する」との回答にとどまっておりましたので、今回、「整備する」と明言いただけたことを高く評価いたします。

 

すでに長年、市民や葬儀業者の方々をお待たせしてしまっている取り組みです。ここからは、整備までのスケジュールをできるだけ前倒しし、24時間対応を早期に実現いただくよう要望します。今後の動向について、強い関心を持って見守っていくことをお約束し、本件の質問を終えます。

 

滞納整理の強化

【2022年9月定例会 一般質問②】

2020年度決算において、本市の収入未済金、いわゆる滞納金の総額は、約49.3億円でした。主な内訳は、税が約20億円、国民健康保険が約16億円、生活保護返還金が約4億円、市営住宅家賃等が約1億円で、滞納が発生している債権の種別は59種類にのぼります。私は、2021年3月議会において、訴えの提起を機動的に行うための議員提出議案を提案しましたが、今回は法的措置に至る前の段階、いわゆる任意回収に着目して質問いたします。

 

≪資料2≫をご確認ください。この「標準的な債権管理事務モデル」が昨年度に本格導入されたことで、債権の実現における処理手順とスケジュールが明確化されました。債権ごとに取り扱いが異なる状況を改め、全庁統一的な基準を掲げたことを高く評価しています。一方で、当モデルの内容や、各債権所管課への浸透度合いについては、改善の余地があると考えています。

 

現在、滞納が発生した場合には、納期限から20日目までに督促状を送付し、共通コールセンターもしくは担当課にて架電。それでもなお納付が無い場合、翌月以降に催告書を送付するという手法が主流となっています。これは標準モデルに沿った取り組みですが、催告書については毎月送付を続ける債権と、年数回しか送付していない債権が見られました。電話については「遅くとも督促状発送時期に合わせて実施」と定められているにもかかわらず、一定期間を置いてから実施している債権が存在しています。任意回収については、滞納発生後できるだけ早く、書面や電話で支払いを促すことが何より重要です。それでも納付が無い滞納者には、何度も請求を続けることにより「支払わないといけないな」という気持ちを抱かせなければなりません。納期限から市が入金を確認できるまでの間には、一定のタイムラグが存在するとはいえ、少しでも早く初回の督促を行うとともに、支払いが無い場合には時間をおかずに働きかけを継続するべきです。標準モデルでは電話催告・文書催告を「速やかに開始」するよう求めており、この方針を各債権所管課に徹底させるべきです。

 

今回、収納対策本部だけでなく各債権の所管課にもヒアリングを行いましたが、その結果として明らかとなったのは、特に課題の多い債権所管課が2つ存在することです。それは、災害援護資金貸付償還金を扱う福祉総務課と、同和更生生業資金貸付元金等を扱う人権平和推進課です。これらは、いずれも新規の貸付を終了し、長期間にわたって償還のみを受け付けている債権であり、その業務の特殊性は一定理解しますが、滞納整理の手法が他の部署に大きく見劣りすることは事実です。例えば、災害援護資金貸付償還金では、滞納が発生しても、すぐには督促を行いません。督促を行うのは未納が3か月間続いた場合で、その方法も電話が基本となっています。督促状を送付しない場合があるなど、任意回収の重要性や債権管理事務モデルの考え方に照らし合わせれば、言語道断です。人権平和推進課所管の債権では、滞納の未然防止や確実な回収につながる口座振替が、全41件の債権者のうち9件しか登録されていません。また、請求書の文面について、他の債権の催告書には記載されている「法的措置を行う可能性があること」の警告が存在しません。回収の難度が高い債権であっても「やるべきことを、きちんとやること」は当然の責務です。両課の滞納整理の実務について、抜本的な見直しを求めます。

 

次に、口座振替について指摘します。≪資料2≫をご覧ください。先ほども取り上げた通り、金融機関の口座を登録し、毎月自動的に引き落とす口座振替は有効な手段であり、市も2021年1月21日総務常任委員会所管事務報告「収納対策の推進について」等において、口座振替の推進を掲げています。当然、市民が既に持っている口座を登録するのが最もスムーズな手法ですが、資料に示した通り、登録可能な金融機関は債権によって異なります。対応している金融機関が少ない債権では、せっかく市民が口座登録を行おうとしても、お持ちの口座を利用できないという事態が発生します。その背景には、市が口座振替に用いる「伝送サービス」等の構築費用を、件数の少ない債権では捻出しづらいことがあると聞いています。同様の業務を複数の債権所管課が個別に行うことは効率も悪く、登録可能な金融機関を拡大するために、システム構築および金融機関との折衝については庁内で一元的に行うべきと考えます。

 

以上をふまえ、3点質問します。

①「標準的な債権管理事務モデル」に基づいた取り組みを各債権所管課に徹底し、滞納発生初期段階における任意回収を強化するべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

債権管理では、法令に則り、滞納者個々の事情を早期に把握し、納付能力等の情報をもとに、優先的に着手する事案、猶予事案など、滞納者の実情や債権管理上のリスクの度合いに応じ、可能な限り速やかに「徴収する」「猶予する」「差し押さえる」「不納欠損処理する」のいずれかに該当するよう、合理的で効率的な手法を見極めることが必要となります。この対応の原則を示したものが「標準的な債権管理事務モデル(以下標準モデル)」であり、その中では、特に「滞納繰越を防ぐよう対応する」「滞納繰越後は、速やかに法的手続きを行う」ことを強く求めています。滞納整理においては、強制的な手段に偏ることなく、滞納者個々の実情や、債権の特質に応じ、時機を逸せず解決に結びつけることが重要です。したがいまして、標準モデルが目指す債権管理における対応の原則の重要性をあらためて周知することでその徹底を求めてまいります。また、徴収事務全体のスキルアップを図るために開催する専門研修や、個別の事案の対応には、法律や制度について熟知し助言を行う指導相談員を最大限活用するなど、各課の事務の実務的な支援を図ることにより、滞納整理の一層の底上げを行ってまいります。

②福祉総務課および人権平和推進課の滞納整理業務について、「標準的な債権管理事務モデル」を取り入れ、抜本的な見直しを行うべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

福祉総務課所管の災害援護資金貸付金につきましては、令和4年7月31日現在、当初貸付額の99.03%が償還済又は償還免除となっており、未償還債権としては、行方不明などで回収が困難なものの他、少額の償還を継続しているものがあります。少額償還者につきましては、償還を長期間続けている高齢者が多いことや、定期的に文書で償還の意志を確認していること、全て滞納繰越後の債権であることから、催告は電話での催告を基本として、それぞれの生活状況を直接把握したうえで柔軟に対応しております。「標準的な債権管理事務モデル」では、現年度債権の督促などの時期や手順が示されていますが、滞納繰越後の債権の催告については示されていません。しかしながら、現年度債権での基本的な考え方は、滞納繰越後の債権管理においても参考とするべきと考えられることから、今後は、「標準的な債権管理事務モデル」で示された内容や趣旨を踏まえ債権回収を行ってまいります。

 

人権平和推進課所管の同和更生生業資金等の4種類の貸付につきましては、令和4年7月31日現在での回収率は99.3%となっています。議員ご指摘のとおり未収分の回収については、標準的な債権管理事務モデルの趣旨も踏まえつつ、口座振替は債務者・市ともに利便性が高く、徴収の有効的な手段であることから、引き続き債務者に対し利用可能な口座振替による納付を勧奨するとともに、滞納となっている債務者に対しては、請求書の文面には記載していない法的措置の可能性があることの周知も含め、債権の回収に努めてまいります。

③登録可能な金融機関を拡大するために、口座振替の推進に必要なシステム構築及び金融機関との折衝を、庁内で一元化して行うべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

口座振替は、市民にとって納付に出向く手間が省け、納期限を忘れる心配もないなど、利便性が高い納付方法であり、市にとっても収納の安定性に優れる納付方法であることから、これまで口座振替を推進してまいりました。一方、議員ご指摘のように公金の種類によって口座振替ができる金融機関に差がある状況が生じており、その原因としては、納付手段の充実について一元的に検討する場が存在せず、所管課ごとに対応してきたためと考えられます。今後は、口座振替はもとより、キャッシュレス推進など市民の利便性の向上や収納の効率化、実施にあたっての費用対効果などを総合的に検討するため、収納対策本部に公金収納に係る専門部会を設置し、一元的に対応してまいります。

■意見・要望

債権管理事務モデルの徹底については、「モデルが目指す債権管理における対応の原則の重要性を改めて周知する」とのご答弁でした。このモデルは、作って終わりではなくて、その目指す姿がそれぞれの債権所管課に浸透し、実際の事務執行に活用されて、初めて意味を持ちます。債権の特質によって対応が異なる場合もあることは理解しますが、督促状を送ってから電話するまでに期間を置く理由は特にありませんし、催告の頻度を高めることはどの債権でも重要です。ご答弁にありました通り、ぜひ「原則の重要性」を、それぞれの課に徹底していただくよう要望します。あわせて、電話催告や文書催告の時期・回数をより具体的に指定するなど、標準モデル自体の見直し・ブラッシュアップも是非ご検討くださいませ。

 

福祉総務課・人権平和推進課からは、それぞれ実務を見直していく旨の答弁を頂きました。必ず、ご答弁の通り進めてください。これらの債権は、歴史的な経緯があること、対応が長期化していることから、回収のハードルが高くなっていることは事実です。今後、債権管理のあり方を見直すべきとの考えもあるようですが、その前に、まずは回収可能な債権を、確実に回収しなければなりません。「事情が複雑だから仕方がない」「既に十分回収している」という姿勢ではなく、公平性や歳入確保の観点から、厳格な対応をとるよう要望します。

 

口座振替に対応する金融機関の拡大については、庁内で一元的に検討・対応するため、公金収納に係る専門部会を設置していただけるとのことでした。非常に前向きな答弁と感じております。所管課ごとの対応ではなく、全庁的に取り組みを進めることで、件数の少ない債権についても、口座振替に対応可能な金融機関を増やすことができると考えています。今後の進展に期待して見守りたいと思います。

 

本市の滞納整理については、当会派も長らく指摘を続けており、ここ15年ほどで対応の質・精度が大幅に向上しました。税・国保などの強制徴収公債権で取り組みが先行し、そのスキームを非強制徴収公債権や私債権にも活用できる環境が、ようやく整ってきたように思います。債権管理事務モデルの本格導入は、その象徴的な出来事です。だからこそ、全庁的な連携を図る上でも、滞納情報の管理や庁内でのスムーズな共有が重要度を増しています。自治体システム標準化の動向も注視しながら、滞納管理システムのあり方についても検証を続けていただくよう要望し、本件の質問を終えます。

 

校則見直しの推進

【2022年9月定例会 一般質問③】

近年、「ブラック校則」という言葉が知られるようになりました。地毛にもかかわらず、髪を強制的に黒染めされる。女子生徒の下着の色を男性教師がチェックする。授業中にトイレに行かせてもらえない。そんな耳を疑うような校則の存在が、相次いで報告されています。校則はあくまでも、集団生活に一定の秩序をもたらすこと、規範意識や社会性を育むことが目的のはずで、児童・生徒を傷つけるためのものではありません。これらの校則が問題視されたことを背景に、全国的に校則の見直しに取り組む事例が増えつつあります。≪資料3≫をご確認ください。先行事例として知られる東京都では2021年度に全ての都立高校を対象に調査を行い、「ブラック校則」が疑われる6つの類型を示して、自己点検を促しました。また、校則の項目が多いほど、それを確認・指導する教師の業務が増加します。教師の負担軽減が求められる中、必要以上に細かい規定を設けることは望ましくありません。こうした状況をふまえ、私は本市の市立小学校・中学校・義務教育学校・高等学校全ての校則を入手し、現状と課題を調査しました。

まずは≪資料3別紙≫をご確認ください。市立中学校・義務教育学校の校則について、項目ごとにまとめた一覧表です。こちらをご覧いただくと、学校ごとに随分と内容が異なっていることに気づかされます。全校の校則を統一せよと申し上げたいわけではありませんが、ある学校で当然のように定められている規定が、ある学校では全く異なる取り決めとなっている、という場合が多くあります。この中に潜む問題点について、いくつかの観点から検証していきます。

≪資料3≫をご覧ください。1つ目の観点は、ルールの明示です。私がこの度、生徒や保護者の方々に校則についてお伺いしたところ、複数の方から「学校から校則の説明を受けたことがない」「知らないうちにルールが変わっていた」といった声が寄せられました。「校則」「生活のきまり」「ガイドブック」等、呼称は様々ですが、各校に何らかの明文化された規則が存在する以上、それが十分に周知されていないことは問題です。各校は入学前の学校説明会等で保護者へ資料配布や説明を行っているようですが、いつでも確認できる分かりやすい方法は、学校ホームページへの掲載ではないでしょうか。9月1日現在、中学校・義務教育学校全20校のうち、ホームページに何らかの校則等を掲載しているのはわずか9校です。まずは保護者・生徒をはじめ、関係するすべての方が、同じ情報をベースに議論できる環境を整えなければなりません。

2つ目の観点は、曖昧な規定の存在です。本市の校則には、文面上明らかに「ブラック校則」とみなされるような規定は見当たりませんでした。しかし、それは人権侵害につながる指導が絶対に行われていない、と証明する根拠にはなりません。調査の中で気になったのは「中学生らしい」「長すぎない」「高すぎない」「華美でない」等、あいまいな規定が多く存在することです。全体の理念や方向性を打ち出す箇所では、こうした表現が用いられることも一定やむを得ないと考えますが、具体的な指導の対象となる規定は、できる限り明確な判断基準を置くべきです。そうでなければ、「これは中学生らしくない」といった、教師の恣意的な解釈を招き、過度な指導につながる危険性も存在します。また、解釈の余地を残してしまうという意味では、「下着は単色無地とする」等の表現も気になりました。該当の3校へ確認したところ、ここでの「下着」とはシャツ類を指すとのことですが、文面だけを見ればブラック校則として問題となったブラジャー類を含むようにも読み取れます。今後この規定を根拠に不適切な指導が行われないように、「下着」は「肌着」や「シャツ」と変更するべきでしょう。また、曖昧な規定が存在するだけでなく、そもそも規定が存在しない事項、もしくは規定と異なる内容で指導が行われている、という可能性も指摘しておきます。例えば今回の調査の中で、髪型で「あみこみ」が明確に禁止されていないにもかかわらず、実際には教師から「あみこみ」をやめるよう言われる、という声をお聞きしました。他にも、学校説明会での配布資料と入学後に配布される校則で表現が異なっている事例を確認しており、誤解を招くリスクが生じています。

3つ目の観点は、合理性を欠く規定です。「ブラック校則」とまではいかなくても、なぜその規定が必要なのか、説明できないような校則は本市にも多く存在します。例えば髪型では、話題となった「ツーブロック」を禁止している学校が依然として存在するほか、おだんごを禁止している例も見受けられました。禁止する髪型を特段定めていない学校も多く、こうした髪型がなぜ駄目なのか、説明することは困難です。先ほど述べた「曖昧な規定」でもありますが、「ファッション性のある髪型」「自然な髪型でないもの」を禁止と言われると、もはやどんな髪型をすればいいのか分かりません。また、防寒着としてコート類の着用を認めていない中学校が2校存在していました。うち1校は今後検討予定と聞いておりますが、生徒の健康・体調管理の重要性や、大半の学校が着用を認めている現状を鑑みれば、早急に着用可へ変更するべきでしょう。靴や靴下も、学校により対応が分かれている項目です。靴や靴下は白としている学校が多いのですが、白の靴・靴下は汚れやすいという声もあります。私自身、中学生の時は白靴・白靴下だったので、「中学生の靴や靴下は白」という固定観念がありましたが、一部の学校ではすでに運動靴の色の指定を取りやめたり、黒や紺の靴下の着用を認めたりしています。考えてみれば、大人になるとむしろ黒や紺の方がフォーマルであり、白を指定している方が不自然なのかもしれません。その他、学校外での生活を厳しく制限する校則も気になりました。そもそも、学校は生徒のプライベートな時間について、明らかな非行・不法行為を除いては、干渉する権限を持たないはずです。「映画・プール・ボーリング場・ゲームセンター等、娯楽施設を利用する場合は保護者またはそれに代わる成人の同伴が必要」などとありますが、中学生にもなれば、映画くらい友達どうしで行きますよね?樋之池プールに行けば、小学生ですら、子どもたちだけで遊びに来てますよ。この校則が存在している学校で、生徒がこの規定を守っているとは到底思えませんし、教師がそれを確認できるはずもなく、形骸化していると言わざるを得ません。これらの学校では、当然の規定と捉えているかもしれませんが、今回の調査で判明したのは、学校外の生活について詳細に定めているのはむしろ少数派であるということでした。

4つ目の観点は、学校指定品のあり方です。制服をはじめ、学校生活や勉学に必要な物品の購入に要する費用は、子育て世帯の大きな負担となっています。一般的に、学校が特定の製品や販売店を指定する場合、市販品を自由に購入する場合に比べて競争原理が働きづらく、価格が高止まりする傾向にあります。2021年6月議会では当会派の澁谷議員が被服類全般について、2022年6月議会では宮本議員が体操服について、それぞれ自由化を提案されていますが、私も同様の考えですカッターシャツやポロシャツについて、白なら市販品でOKとしている学校と、指定品を購入しなければならない学校。防寒着として、コートやジャンパーを自由に着用できる学校と、指定のウインドブレーカーしか認められていない学校など、学校により状況は大きく異なります。また、指定品の中には、水着やナップサック・サブバック等、使用頻度の少ないものも存在しています。これらの事例について、指定品でなければならない合理的な理由は見当たらず、市販品の購入で何の問題も無いはずです。

5つ目の観点は、変更規定の不存在です。近年、本市でも複数の中学校が校則の見直しに取り組んでおり、そのことは私としても前向きに受け止めております。しかし、校則の中に「どのように校則を変更できるのか」を明示している規定は見当たりません。生徒会会則に、会則自体の変更手続は記載されていても、生徒心得や服装・頭髪規定といった、いわゆる「校則」の部分については、変更のプロセスが示されていません。法律・条例なら議会による過半数の賛成で改廃が可能ですし、各種団体の会則・規約には「総会での過半数の賛成」「役員会による発議」等、規定の変更について定められていることが一般的です。校則も立派な「ルール」である以上、変更に向けた手続を明示することが必要です。生徒が主体的に関わり、「ルールとは」という根本的な問いに向き合うことが期待されるからこそ、社会で用いられているルールと同様の仕組みを整えるべきと考えます。

こうした見直しを進めるためには、教育委員会の積極的な関わりが欠かせません。今回の質問を準備する過程で判明したのは、教育委員会は各学校の校則について、内容を把握していないということでした。これだけ校則に関する問題意識が高まり、また、見直しが主体的な学びの機会として重宝されている中、教育委員会は校則の見直しを各校の方針だけに委ねるべきではありません。それぞれの学校が取り組みを進めようとしても、「何から手を付けたらよいのか」「どういった校則が問題なのか」といった疑問に直面するでしょうし、その学校でずっと踏襲されてきた規定であれば、そもそも違和感を持てないという場合もあるでしょう。現在の環境下では、「校則に対する意識が高い、取り組みを主導できる教師がいる、業務量にそれだけの余裕がある」といった学校では見直しが進むものの、そうした条件の整わない学校では、なかなか取り組みが進まないと考えられます。教育委員会は、今回示したような校則比較表の作成、問題となりやすい規定の類型化、校則のフォーマット提供等、体系的な支援策を取りまとめるべきです。あわせて、市内・他市を含めた見直し事例や、見直しを行った学校における実際の手順を共有するなど、具体的な手法を提示するべきです。ただ「見直してください」と促すのではなく、モデルとなる進め方を示したうえで、各校の取り組みについて進捗管理を行うことが、教育委員会の役割と考えます。また、見直しのきっかけはPTAや生徒自身の声であることも多く、こうした支援策は市のホームページ等でも積極的に広報する必要があります。

以上をふまえ、4点質問します。

①適正な学校運営と生徒の学びのために、校則の見直しは重要な取り組みと考えますが、教育委員会の認識をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

校則の見直しは重要な取り組みと考えており、昨年度から時代や社会状況に応じた適切な内容になるよう、それぞれの学校に見直しを依頼してきました。これからの学校は、社会に開かれた教育課程を編成し、学校だけでなく地域社会、そして保護者が一体となって子供を育てることが大切です。その意味においても、生徒会や教育連携協議会・コミュニティスクールなどと連携して校則の見直しを検討することで、多くの視点での議論ができ、生徒が主体的・自主的に守り実践できる校則になると考えています。あわせて、今年度文部科学省が改定する「生徒指導提要」に、校則は「守らせることばかりにこだわらず、教職員も児童生徒もその背景や理由を理解し、自主的に守ることが重要」とされています。これをふまえ、本市として、今後も引き続き児童生徒や学校の実情に応じた見直しとなるよう取り組みを進めてまいります。

②各校の校則について、教育委員会は内容を把握するべきと考えますが、見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

いわゆるブラック校則と言われるような社会通念上理解しがたい内容のものや、あいまいな表現で分かりにくいものについては、見直しを求めるなどの指導が必要であるため、各校が規定している服装や頭髪などに加えて、独自に規定している事項も含め、各学校の状況を把握すべきと考えております。

③教育委員会は、校則の見直しに必要な情報を整理し、各校に対して体系的な支援策を提供するべきと考えますが、見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

これまで、市立中学校に対して、月に1度開催される生徒指導主任の担当者会議において、校則見直しに向けた各校の取り組みを紹介するとともに、見直しによる利点や問題点などを共有し、各校が持ち帰り協議できる材料を提供してまいりました。今後も、文部科学省が改定する「生徒指導提要」に、時代に合わせた検証が必要であると示されていることから、会議の議題に取り上げ協議してまいります。また、各校の校則の基本的な項目を把握することから、それをもとに各校が見直す際、他校の取り組み状況などについて、必要な情報を発信し、体系的な支援を行ってまいります。

④教育委員会は、具体的な手法を示して各校に校則の見直しを促し、取り組みの進捗管理を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。

〇答弁要旨〇

これまでにも、校則見直しに係る進捗については、生徒指導担当者会で情報共有してまいりました。各校の校則や学校生活上のルールなどについては、生徒会が主体的に検討し、教職員や保護者などとの協議を経て、全校生が参画する生徒総会などで見直された経緯があります。これを基に、生徒会会則も含め、生徒会を中心とした見直しへのプロセスが、具体的に生徒へ周知され、必要に応じて校則が適切に見直されるよう促してまいります。また、校則は誰もが参照できるよう学校のホームページへ公開することが適切であることから、各校の校則がいつでも閲覧できるよう取り組みます。最後に、教育委員会としても、各校における校則見直しの取り組みについては、定期的にその進捗を把握し、適切な取り組みとなるよう努めてまいります。

■意見・要望

抽象的なご回答にとどまったところ、言い切っていただけなかったところもありますので、再質問をしようかとも考えましたが、基本的な方向性は共有することができましたし、今まさに取り組みを進めている最中でもございますので、今後の展開を厳しく見守っていくことをお約束したうえで、意見・要望にとどめたいと思います。

 

まず、校則の見直しは重要な取り組みであるという認識をお示しいただきました。そうであるならば、教育委員会は主体的にこの問題に取り組むべきです。学校の自主性を大切にするという考え方も理解しないわけではありませんが、本市の教育行政を預かる以上、学校任せにしていい事案ではありません。

 

だからこそ、その次に、教育委員会は各校の校則を把握するべきではないか、と指摘しました。教育委員会が現状を正確に知らなければ、是正を促すことなど、できるはずがありません。「各学校の状況を把握すべきと考えている」とのご答弁でしたので、是非その通り進めてください。把握の状況については今後、定期的に確認させていただきます。

 

私がこの点にこだわるのは、今回の一般質問の準備を進める中で、驚く事態に直面したからなんです。校則を取り巻く課題に問題意識を持ち、教育委員会に対して全校分の校則を資料請求したところ、全て揃うまでには数ヶ月の期間を要しました。最初の段階では、ホームページに手引き等が掲載されている数校分の情報しかご提供いただけず、私たちがインターネット上で調べるのと同じ水準の情報しか持ち合わせていないことが判明しました。それは、教育委員会が全くと言っていいほど、各校の校則を把握していなかった、そもそも把握する必要性を感じていなかったことを意味します。今回、私が学生インターンの協力を受けて作成し、皆様に配布した一覧表は、僭越ながら、おそらく本市で初めて各校の校則を一元的にまとめた資料だと自負しています。限られた情報から読み取ったものですから、決して精度は高くありませんし、比較する事項や類型にも様々なパターンが考えられますが、本来、こうした一覧表は教育委員会において作成・更新すべきものです。問題点を見つけ出すためにも、各校の取り組みを支援するためにも、教育委員会の責任において把握を進めてください。そのうえで、体系的な支援策を提供すること、具体的な手法を示して見直しを促すこと、見直しの進捗管理を行うことを要望しておきます。

 

ここで大きなポイントとなるのが、各校ホームページへの校則の掲載です。現在、私たちが何か情報を得ようとする際、まずはホームページを確認することが一般的です。校則の見直しには、生徒・保護者・教師はもちろん、ご答弁にありましたように教育連携協議会・コミュニティスクール等、多くの主体の参画が期待されます。そうした多岐にわたる関係者がスムーズに議論を進めるためには、まずは全員が現状を正確に認識し、前提を共有することが欠かせません。ホームページであらかじめ校則を公開していれば、今回寄せられた「そもそも、どんなルールがあるのかよく分からない」といった声にも、十分お応えできるはずです。ホームページで公開するべきコンテンツは校則だけではなく、長期休業中の宿題や休み明けの持ち物など、保護者が欲しいと思う情報を、できるだけ網羅していくことが大切です。ご答弁では「学校のホームページへ公開することが適切であることから、各校の校則がいつでも閲覧できるよう取り組む」という方針をお示しいただきましたので、早急に全校でのホームページ掲載を実現してください。

 

これまで、現状の校則について、問題点ばかりを指摘してきましたが、調査の中では非常に「いいな」と感じるものに出会うこともできました。例えば、甲武中学校。それぞれの規定に、理由や目的の記載が添えられているんですね。ルーズソックスの禁止は「運動時に支障が出るため」、不要な夜間の外出を控えなければならない背景は「青少年愛護条例で午後11時から午前5時の外出が禁じられている」こと。自分の持ち物に名前を書くのは「自分のものをしっかり管理する力を付けるとともに、ものを大切にする力を付けてほしい」から。こうした記載があると納得感が高まりますし、「以前に生徒・保護者・先生で、学校生活の決まりについて長い時間をかけて話し合い、靴やかばんの自由化やハイネックセーターの廃止を実現した」とのことで、見直しを契機に、校則へしっかり向き合うようになったことがうかがえます。他の例としては、塩瀬中学校。「私たちのカバン自由化の約束」という記載がありました。以前は学校指定だったカバンを自由化した際に取り決めたものと思われますが、「使いやすくするための自由化なのでカバンに飾りはつけません」「通路などをふさいで迷惑にならないように、整理整頓します」など、自由化だからといって何でもOKというわけではない、自由にするからこそ守るべきラインはみんなできちんと守る、という高い意識が感じられます。自由には責任が伴うという、大切なことを教えてくれている事例と言えるでしょう。

 

私たちはどんな形であれ、社会の中で、組織と関わりながら生きていきます。そして、社会や組織には、一定のルールが存在しています。なぜルールを守らなければならないのか。ルールがおかしいときは、どう変えていけばいいのか。そうした実践的な学びとして、校則ほど最適な教材は他にありません。見直しを進めた多くの自治体や学校からは、取り組みを前向きに受け止める声があがっています。細かい制限をいくつか廃止した、といった小手先の改定にとどめるのではなく、生徒たちが本質的にルールと向き合い、貴重な経験を得られるよう、教育委員会が本気でこの問題に取り組むことを要望します。