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医療費通知の見直し
【2025年6月定例会 一般質問①】
資料1をご確認ください。本市は国民健康保険の被保険者に対し、年に6回、「医療費のお知らせ」を郵送しています。通知に要する費用は、印刷費・郵便料・委託料で、2025年度当初予算での合計額は約3,490万円です。4年前の2021年度は約2,530万円であり、郵便料金の改定や人件費・物価高騰等の影響を大きく受けています。なお、通知に係る費用に対しては、県から毎年1,400万円程度の補助金が交付されています。
本市の通知は年6回ですが、他市では回数を抑えている例が多くあります。資料に記載の通り、中核市を対象とした調査では、約半数の市において年1回~4回の送付であることが分かりました。医療費のお知らせは厚生労働省の通知に基づき「被保険者に健康に対する認識を深めさせ、ひいては国民健康保険事業の健全な運営に資することをねらいとして行うもの」として実施されていますが、この目的を実現するために、必ずしも年6回の郵送が必要とは考えられません。事実、後期高齢者医療保険では、年2回の送付にとどまっていますが、特段、大きな問題は発生していないようです。本市の国民健康保険においても、通知回数を大幅に削減し、費用を圧縮するべきです。兵庫県の補助金交付要綱において、年6回以上の送付が条件となっているため、まずはこの基準の緩和・撤廃を求めなければなりません。
以上をふまえ、2点質問します。
①国民健康保険の医療費通知について、県に対し、補助金交付に係る通知回数の基準を緩和・撤廃するよう求めるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
〇答弁要旨〇
本市では、厚生労働省からの通知に基づき、健康に対する認識を深めて頂くことなどを目的として、国民健康保険被保険者に医療費通知を送付しております。医療費通知にかかる費用に対し、県特別交付金の交付を受ける要件の一つとして、1月から12月の間に6回通知を送付することが定められていることから、本市においても年間で6回送付しております。この県特別交付金につきましては、現在、県および市町等で構成する国民健康保険連絡協議会において交付基準変更などの検討が行われており、令和9年度から適用される予定の新たな交付基準では、医療費通知事業は交付対象に含まない方向で検討されております。今後、こうした検討の動向を注視するとともに、本市といたしましても、基準の緩和等に向けて働きかけて、そして、6回の通知ということでなく、合理的な数の縮減というようなことに向けて、動いてまいりたいと思います。
②県の基準緩和を前提に、医療費通知の回数を大幅に削減するべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
〇答弁要旨〇
医療費通知の送付回数につきましては、令和9年度以降、県の交付金基準による制約が無くなることも検討されており、他市の事例などを参考に、送付回数の削減も含め、効果的かつ効率的な通知のあり方について、検討してまいります。
■意見・要望
非常に前向きな回答を得られましたので、ぜひ、2027年度から通知回数を減らし、費用を削減してください。また、この通知についてはマイナポータルでも閲覧できます。他の分野にも共通する課題ですが、WEB上での手続が可能なことについても周知を進めていただきたく思います。
現在、本市は財政構造改善に取り組んでおり、そこで示された歳出削減策には、数十万円、数百万円という効果額のものも多くあります。そんな中、本件は千万円単位の費用削減が見込まれる取り組みなのに、実施計画には載っていませんし、これまで検討すらされていなかったようなんです。全庁的に見れば、こうした施策が、まだまだあるのではないか、と思わざるを得ません。市が進める事務事業の見直しは、市民サービスの低下に直接結びつくものが多く、市民から疑問の声が上がっていますが、医療費通知の回数を削減しても、サービスが低下したと受け止める方はほとんどいらっしゃらないはずです。市民生活に影響を与えず、費用を圧縮できる手法が本当に他にないのか、今一度、洗い出していただくよう要望します。
西宮市シルバー人材センターのあり方
【2025年6月定例会 一般質問②】
資料2をご確認ください。本年4月1日付の人事異動を見て、私は大きな違和感を覚えました。それは、外郭団体である公益社団法人西宮市シルバー人材センター(以下、シルバー)に、3名の職員が新たに派遣されていたからです。外郭団体への職員派遣については、自立した運営体制が求められることに加え、市役所の業務に人員を充当する必要があるため、引上げ・縮小が基本的な方向性と認識していました。その流れに逆行する今回の新規派遣は、看過し難いものであると言えます。
派遣の理由を当局に確認すると、シルバーの経営改革が目的であるとのことでした。現在、シルバーでは会員の高齢化に伴い、既存の業務と会員のニーズにミスマッチが生じており、新たな業務を受注するための営業活動が必要。会員・就業先ごとに業務内容の確認や契約手続きが必要で、事務負担が大きい。一方で、固有の正規職員がおらず、嘱託職員も短期間で離職する傾向が続いており、新規開拓や業務改善にまで手が回っていない。近年ではインボイス制度の影響で消費税額の負担も増加している。こうした課題に対応するため、事務局の体制を強化するとの説明を受けました。
民間企業等で働く高齢者も増えているとはいえ、シルバーは高年齢者雇用安定法に基づく団体であり、今後も存続させることを前提とするのなら、これらの経営課題を解決しなければなりません。抜本的な改革を行うには、市職員よりも民間の知見が求められるようにも思いますが、職員を新たに雇用するためには、体制の立て直しが先との考えもあり、市職員を派遣するに至った経緯については、一定、理解するところです。
しかしながら、それはあくまでも暫定的な、短期間の派遣に限ります。期限を定めて、早期に経営改革の具体的な成果を出し、派遣を取りやめるべきです。財政構造改善の取組が進む中、限られた人数で業務を行っている部署も多い本市において、職員を外郭団体の業務に従事させる余裕はありません。
改革を進めるうえで、新たな仕事の受注については、あらゆる可能性を模索することが重要です。シルバーは、広田山荘の指定管理や公園遊具の安全パトロール等、市の業務を受注していますが、他にも入札に参加できる業務はあるものと考えます。例えば、駅前の駐輪場の運営管理は、一者からしか応募の無いことが建設常任委員会で度々指摘されており、シルバーも応募を検討してはいかがでしょうか。民間の仕事についても、他市のシルバーではマンション管理など、本市では実績のない業務を受注している例も多く見られます。また、業務改善にあたっては、DXの観点が欠かせないことも指摘しておきます。
以上をふまえ、2点質問します。
①シルバーの経営改革について、いつまでに、どのような取り組みを行い、どれだけの成果を生み出すのか、具体的にお答えください。
○答弁要旨○
公益社団法人西宮市シルバー人材センター(以下、シルバー)は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づき、高齢者の能力を生かした活力ある地域社会づくりに寄与することを目的として、平成6年に設立され、当初より、最大で3名の市職員を派遣し、運営してきました。その後、平成21年度に市職員を完全に引き上げ、以降は市OB職員が常務理事と事務局長に就任し、嘱託職員と臨時職員により運営がなされてきましたが、安定した雇用とならず、合わせて職員の高齢化も進んでいくなど、脆弱な事務局体制になっていました。
令和6年度より、シルバーの状況把握と運営支援のため、市職員1名をシルバーに派遣しましたが、運営に多くの課題を抱えていることが判明したため、当該職員定年退職後の令和7年度より市職員を3名派遣し、事務局体制の立て直しと経営改革に向けた取り組みを図ることとしたものです。
市の考えるシルバーの経営改革に向けた取り組みは、4点ございます。
1つ目は、組織体制の整備です。今後自立した組織体制を構築するために、現時点で不在であるシルバーの正規職員を採用し、将来的に中心となって活躍してもらうことで、組織体制の安定化と活性化を図ってまいります。なお、正規職員含むシルバー独自の職員の採用試験を令和7年度より開始する予定です。
2つ目は、業務の効率化の推進です。決裁区分の見直しや電子決裁の導入などDXの推進による事務処理の効率化、及び事業内容の見直しによる業務の効率化をはかります。
3つ目は、インボイス制度への対応です。インボイス制度により増加しているシルバーの消費税負担について、引き続き国に経過措置の継続を要望するとともに、税率2%の現行経過措置が5%となる予定の令和8年10月までには、一定の方向性を示せるよう具体的な対応策を検討します。
4つ目は、受注額増への取り組みです。市からの発注業務も含め、シルバーの受注業務量を増やしていくことは重要な課題であると認識しております。民間からの受注については本市の地域特性に合った業務の開拓や営業体制の強化を、市からの受注については高齢者に見合った業務の内部調整を進めることなどにより、収益増につなげてまいります。
なお、シルバーにおいては、今回派遣した3名の市職員を中心に、ただいま申し上げました内容を盛り込んだ「経営改善策」を令和7年度中に策定予定であり、速やかにこれを実行してまいりたいと考えております。また、これらの取り組みを進めることで、持続可能なシルバーの運営体制を構築し、高齢者が働くことを通じて生きがいを得ると共に、地域社会の活性化に貢献する組織を目指すとともに、安定的な経営を行えるように努めてまいります。
②経営改革を速やかに進め、シルバーへの職員派遣を早期に取りやめるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
〇答弁要旨〇
現在、市は財政構造改善に取り組む中、市職員を削減し、外郭団体からの職員引き上げを進めている中ではございますが、令和7年4月からのシルバーへの職員派遣は、先に述べたとおり、シルバーが多くの課題を抱えていることが判明したことによる臨時的な対応です。
市からの正規職員の派遣は、「経営改善策」の進捗状況にもよりますが、派遣期間の上限である3年程度を目途と考えており、安定した組織体制の進捗も鑑みながら、順次引き上げていくことを目指してまいります。
■意見・要望
今回の派遣はあくまでも臨時的な対応であり、順次引き上げていくことを目指す、と明言していただきました。そのためにも、経営改革にはスピード感を持って取り組み、具体的な成果をあげていただきたいと思います。本年度中に経営改善策を取りまとめるとのことでしたが、それだけでは不十分で、着手できる取り組みは、すぐにでも始めてください。中でも受注業務の拡大は喫緊の課題であり、これまで受注実績のない分野・業務についても積極的に挑戦するべきです。本市には、他にも高齢者や障害者の労働機会を提供している企業・団体があり、シルバーだけを特別扱いすることはできないものの、法的な根拠に基づき今後も運営していくことを前提とするのであれば、市からの業務発注のあり方についても、改めて検討することが必要です。また、いまだに請求書は紙でしか発行していないなど、デジタル化の遅れは深刻で、シルバーへ業務を発注する側の利便性を向上する観点からも、早急に改善しなければなりません。これらの取り組みを進め、市職員の派遣を少しでも早く取りやめるよう要望します。
観光事業のあり方
【2025年6月定例会 一般質問③】
私はこれまで観光事業、中でもにしのみや観光協会が抱える問題について、厳しい追及を続けてきました。職員の不適正な兼業実態、コロナ禍での動画配信事業、最近ではホームページのリニューアル費用の高さを指摘し、当初予算からの減額を実現しました。他にも、観光協会への指摘を行っている議員は複数いらっしゃり、組織として深刻な状況にあると言えます。
一方、個別の課題について提言や主張を重ねる中で、そもそも観光事業に対する市の姿勢に根本的な問題があるのでは、という思いを持つようになりました。一つずつの不適正な事案を是正することはもちろん重要ですが、今回は本市の観光事業がどうあるべきか、という大きな観点で質問します。
資料3をご確認ください。2005年度以降の観光費ならびに観光協会補助金の推移を示したものです。ここ数年は、観光費全体が6,000万円台、うち約半分の3,000万円台が観光協会への補助金という水準ですが、約20年前は観光費の総額が1,000万円に満たなかったことが分かります。観光協会補助金についても、記録の残る範囲で最も遡った2010年度においては、約170万円に過ぎません。ここ20年間で本市は観光分野に対する支出を大幅に伸ばしていますが、これだけの公費を投入したことにより、どれだけの成果を生んだのか、定量的な検証は行われていません。
同じく、資料3をご確認ください。2025年度予算における都市ブランド発信事業経費を、性質別に分類したものです。観光協会の運営補助金をはじめとする事務的な費用が約2,000万円。各種事業の実施費用が約2,500万円。情報発信関連の費用が約1,700万円。また、このうち表中に赤の星印を付けた3つの項目、計約680万円は、他の自治体等を含めた広域連携事業です。事業と情報発信については、明確に区別できない場合もありますので、あくまでもおおまかな傾向としてご認識ください。また、ここに市職員の人件費は含まれておりませんので、実際にはより多くの費用が観光分野に投じられていると言えます。
私は、これらの状況をふまえ、これまでの観光事業について効果検証を行い、今後のあり方を抜本的に見直すべきと考えています。まず強調しておきたいのは、本市において観光事業は優先順位の低い分野である、ということです。少し古いデータですが、2018年度の「西宮市まちづくり評価アンケート」では、50個の施策について期待度を訊ねたところ、「都市型観光の振興」は圧倒的な最下位でした。つまり、市民は行政に対し、観光事業を求めていないのです。文教住宅都市として発展し、その住環境や教育環境に価値を見出している市民にとって、観光客の誘引は優先度が低くて当たり前です。限られた財源は、インフラの維持・更新や子育て・福祉といった分野にこそ、重点的に投じられるべきです。この点、観光を主要な産業とする自治体とは、前提が異なることを指摘しておきます。
さらに重要な観点は、民間でできることは民間に委ねるべき、という大原則です。本市では多くの企業、店舗、団体、個人等が積極的に活動しており、様々な事業やイベントが実施されています。その中で、市からの補助金で運営されている観光協会を含め、行政が直接、事業やイベントを実施する必要性は低いと言わざるを得ません。行政は、行政にしかできない役割を果たすべきであり、例えばそれぞれの事業主体が発信している情報を集約する、といった方向性が挙げられます。現在、事業に投入しているリソースを、情報発信分野へ振り替えることは、昨年12月定例会で維新の会の渡辺議員もご提言されている通りです。市と観光協会は、企画を検討している団体・市民等への情報提供やマッチング、国や県、他自治体との広域連携といった機能こそ重視するべきです。
また、特定の分野に支援が偏っていることも気になります。本市の主な観光資源として、日本酒・スイーツ・桜が挙げられ、それぞれの業界や地域で、知名度を高めたり、集客したりといった取り組みを熱心にされていることには敬意を抱いています。一方で、まちを盛り上げようとしてくださっている団体や市民は、これらの分野だけではありません。例えば、オリンピックやパラリンピックの影響もあり、人気が高まっているアーバンスポーツやパラスポーツ。全国大会を誘致するなど、ある競技のメッカとしてブランディングしている自治体もあります。また、デジタル社会の反動でしょうか、自然の中で過ごすキャンプや農業体験も広がっています。お酒やスイーツ以外にも、本市には名産品となりうるグルメが多く存在しています。時流に即した取り組みの重要性や、公平性の観点からも、支援を行うなら幅広い分野が対象となるべきです。例えば、毎年決まった事業に補助金を支出するのではなく、提案を幅広く受け付け、まちの賑わいに寄与する事業をコンテスト形式で選べば、機運の高まりや応募者間の切磋琢磨も期待されます。全ての分野の事業に直接、公費を投入することは困難であるため、先ほど申し上げた通り、事業への補助金ではなく、情報発信や伴走支援へと転換を図ることも必要です。
以上をふまえ、2点質問します。
①本市が行う観光事業について、これまでの取り組みを効果検証し、今後のあり方を抜本的に見直すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
全国的に人口減少が進みつつある中で、文教住宅都市である本市の魅力を高めるための観光施策を実施することは、訪れたい人や移り住みたい人が増え、街の活力を生み出すことにつながると考えております。令和5年度、国土交通省近畿運輸局による関西観光まちづくりアドバイザリー会議で「文教住宅都市として圧倒的なブランド力を誇る西宮市は、豊かな住環境と観光を決して対立軸にもっていくことなく、まさに、『住んでよし、訪れてよし』を体現する観光まちづくりを志向すべき。インバウンド誘致が市内を融合するトリガーになり得る可能性がある。観光まちづくりを持続させ、『日本でいちばん住みたいまち』の実現にぜひチャレンジを。」とのご意見をいただいております。今後、観光施策を進めるにあたっては、これまでの取り組みをふりかえるとともに、市、一般社団法人にしのみや観光協会及び事業者それぞれの役割を明確にしたうえで事業の種別、内容及び費用を整理し、現在の財政状況をふまえて効果的な施策となるよう見直すことが必要であると考えています。
②見直しにあたっては、検討の期限を具体的に定めたうえで、議会も含めて多様な声を聞き、オープンに議論を進めるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
本年度、市内外の観光関連事業者などの意見を聞いた上で、観光事業の見直しを行います。その際には、議会にもお諮りしたいと考えております
■意見・要望
これまでの取り組みを振り返る、事業の種別・内容及び費用を整理する、財政状況をふまえて効果的な施策となるよう見直す、議会にもお諮りする、ということで、一定、こちらの提言に沿ったご答弁をいただけたとは思いますが、全体を通して、まだまだ発想が現在の事業ベースになっていて、あり方から抜本的に見直すという意欲は、十分には感じられませんでした。
再度、資料3をご覧いただきたいんですけど、約20年前、観光費は現在の7分の1程度、約900万円でした。このころ、西宮を観光に訪れる人の数、西宮で消費されるお金の額は、今よりはるかに少なかったんでしょうか。極端な話、7分の1だったんでしょうか。多分、そんなことは無いですよね。2005年にだって、西宮神社はあったし、甲子園球場は盛り上がっていたし。ちょうど阪神が優勝した年ですね、2005年。そして、お酒もスイーツも、当時から有名だったわけじゃないですか。民間事業者がすでに努力されていたところに、市がどんどん予算をつけて、観光協会へ補助金をたくさん出すようになったのがこの20年間です。いま検証しなければならないのは、これだけの公費を投入したことが、西宮市における観光客の誘引や消費金額の増加、都市ブランドの向上に、どれだけ寄与したのか、という点です。「市や観光協会が携わった行事に、何人の来場者がありました。」「だから、これだけの金額を投入した価値がありました」という説明は、一見、正しいように見えますが、実は間違っています。「市や観光協会が携わらなかった場合に比べて、来場者が何人増えました」というロジックでなければ、公費を投入した意義の説明にはなりません。市や観光協会が無くても、西宮を訪れてくださる方は、たくさんいらっしゃるわけですから。こうした効果を具体的に、定量的に説明できないのであれば、観光事業は廃止・縮小するべきですし、漫然と同じような手法で継続することは絶対に避けなければなりません。
街がいつも賑わっているのは、素敵なことです。観光事業、やらないよりは、やったほうがいいんでしょう。お金と人が、無限にあるのであれば。違いますよね。少しでも財源を捻出するために、市民サービスを削減したり、各部署が必死で支出を抑えたりしているのが、今の西宮市じゃないですか。そんな中、なぜ観光事業は聖域なんでしょう。20年で7倍という、とんでもない規模で拡大している事業、この財政状況において、見直しを行わないという選択肢はないはずです。「本年度、観光事業の見直しを行います」というご答弁でしたが、小手先の見直しだけで終わらないように、真正面からこの課題に向き合っていただくよう要望します。
吹奏楽部の地域展開
【2025年6月定例会 一般質問④】
公立中学校の部活動について、国が地域展開の方向性を示しましたが、各自治体はその対応に追われ、生徒・保護者や先生方には大きな不安が広がっています。日本の学校教育において部活動の果たしてきた役割は極めて大きく、その価値を毀損する拙速な地域展開の流れには、強い疑問を抱いています。とはいえ、部活動改革は国全体での取り組みであり、少子化への対応や教員の働き方改革が求められる以上、地域展開そのものに反対する立場ではなく、実施に向けた建設的な議論を行いたいと思います。地域展開において重要なのは「人間的な成長や社会性の獲得といった、部活動の価値をできる限り継承する」「展開にあたっての課題を整理し、的確な情報提供を行うことで、混乱を防ぐ」といった観点です。これまで、教育こども常任委員会において、地域展開全般の進め方や懸念点について、指摘・提言を重ねてまいりましたが、いよいよ来年度からの本格実施が目前となり、活動内容や地域の特性に応じ、個別の課題を具体的に取り扱うべき時期に来ています。そこで、今回は、中でも多くの課題を抱える吹奏楽部について取り上げます。
資料4をご確認ください。本市において、吹奏楽部は市立中学校の部活動で最も部員数が多く、全生徒の約1割にあたる1,100人以上が在籍しています。吹奏楽コンクールやマーチングコンテストの創設期から、全国大会で優秀な成績をあげる学校・団体が複数存在する等、西宮は吹奏楽のメッカとして輝かしい歴史と伝統を誇ります。コンクール・コンテストだけでなく、学校を卒業してからも一般の楽団で活動を続けるなど、演奏を楽しむ愛好家が多いことも特徴で、西宮市吹奏楽連盟には小学校から一般団体まで全国屈指の数の加盟団体が集い、2022年度には創立50周年を、2024年度には第100回定期演奏会を迎えています。
先日行われたプレみやクラブの一次募集では、7団体からの応募があり、うち市内在勤の教員が指導者を務めるのは6団体です。吹奏楽ならではの課題に対し、具体的な方針や対策が固まっていないため、応募を躊躇するケースや、既に応募した団体にとっても、不安な要素は多いものと思われます。そこで、本日は吹奏楽の特性をふまえて、取るべき方向性を整理し、教育委員会ならびに当局の見解を質したいと思います。
まずは、活動場所について。吹奏楽で用いる楽器は精密で、重いもの・大きいものも多く、中学生が練習の度に持ち運ぶことは現実的ではありません。特に、打楽器や大型楽器をはじめ、楽器の輸送には多大な労力と時間、温度管理等を含めた細心の注意が必要で、費用も高額にのぼります。活動にあたっては、音楽室等の練習場所と楽器庫の存在が欠かせず、個人練習・パート練習では空き教室や廊下を使用していることからも、多くのスペースが必要です。学校以外の施設では、音が大きく近隣住民や他の施設利用者から苦情を受けるリスクが有り、公共施設でも管楽器の使用は不可の場合が多くあります。中学生が吹奏楽に取り組む上で、活動場所は事実上、学校以外の選択肢が無いと言えます。
次に、学校ごとのクラブ設立について。吹奏楽部は、式典や行事での演奏はもちろんのこと、地域での演奏機会が多く、学校や地域との結びつきが強固です。これまで育まれてきた、学校や地域に愛される存在としての重みは大切にされなければなりません。楽器・備品の中には音楽科での教育活動用と共用しているものも多く、学校と切り離すことは困難です。少子化が進む中においても、依然として部員数の多い学校が多く、70人を超える学校が全20校中8校にものぼります。プレみやクラブは「複数の中学校区で1つ開設すればよい」という考えがあるようにも見受けられますが、このような規模の学校が隣接しているエリアでは、1つのクラブに統合できるはずがありません。また、規模は大きくなくても、地域の高校や一般楽団との合同演奏に取り組んでいる学校もあり、そうした場合には、平日には自身の通う中学校で練習し、休日は外部で活動するという環境が必要です。これらの状況をふまえると、人数などの都合でどうしても合同で活動せざるを得ない場合を除いては、原則として各校に1つ、プレみやクラブが必要と考えます。
そして、何より大きな特性として、1人1台の楽器を必要とすることが挙げられます。維持管理や衛生面の観点から、管楽器を共用することは不可能です。楽器は高額で、個人購入を前提とするのは難しく、学校部活動で気軽に始められるからこそ広がった文化であることを忘れてはなりません。現在、部活動で使用している楽器について、地域展開後も活用できる仕組みを構築する必要があります。楽器の運搬、備品の購入、演奏会の開催など、様々な費用が発生することもふまえれば、楽器の購入・メンテナンス費用については、市や統括団体の負担と、学校教育下での予算措置で賄われるべきです。
ここまで申し上げた通り、吹奏楽部の地域展開は (1)活動場所を学校とし (2)1校につき1つのクラブを設立し (3)現在部活動で用いている楽器を使用できる ことを前提とするべきです。そのためには、 (4)指導者の確保 も大きな課題になると言えます。以上をふまえ4点質問します。
①吹奏楽部の地域展開は、学校での活動を前提に進めるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
活動場所については、各プレみやクラブが決めることとなりますが、吹奏楽をはじめとする音楽活動は、騒音トラブルに発展しないよう近隣の住環境に一定の配慮が必要であり、楽器の保管場所やパート練習を行う際の部屋の確保など、利便性の観点からも、中学校施設の使用を希望する活動が多くなることを想定しています。なお、現在、音楽を行うプレみやクラブとして登録されている13活動のうち11活動が、中学校施設の使用を希望しており、吹奏楽の7活動はすべて中学校施設の使用を希望しています。プレみやクラブが活動場所として中学校を希望した場合、その活動が円滑に行われるように利用調整を行ってまいります。
②吹奏楽のプレみやクラブは、原則として中学校ごとに開設されるべきと考えますが、見解をお聞かせください。また、応募のなかった中学校区には直営クラブを開設するべきと考えますが、いかがでしょうか。その判断時期とあわせてご答弁ください。
○答弁要旨○
子供のニーズに合わせた多様で豊かな活動が実現できるよう受け皿の確保に取り組む中で、持続的な活動が可能な運営体制や参加人数が必要であること、また、プレみやは校区を越えて参加できる活動であることなどから、必ずしも中学校単位で開設されなければいけないとは考えておりません。地域展開後も生徒が興味関心に応じて音楽などの文化芸術活動に参加できるように取り組んでまいりますが、吹奏楽部は文化系部活動の中で設置校数及び参加人数が最も多い活動であり、移行期の生徒たちが引退まで安心して活動を継続できるように取り組む必要があると考えています。方策といたしましては、現在実施しているプレみやクラブの第二次募集後も引き続き募集を続けていくとともに、公益財団法人西宮市文化振興財団への委託費の予算が認められれば、教員から聞き取りを行い、文化芸術団体との連携方策や、教員によるクラブ立ち上げの支援の検討、民間クラブとのマッチングを行ってまいります。統括団体等が運営する直営クラブについては、顧問会の進捗や、第二次募集の結果を踏まえて、必要な人員や経費などのシミュレーションは随時行い、設立について検討いたします。具体的な設置の判断時期としては、今後実施を予定している第三次募集の状況が見える、秋頃と考えています。
③現在、部活動で用いている楽器をプレみやクラブで使用できるようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。そのための具体的な方策とあわせてご答弁ください。また、楽器の更新・修繕費用は、市もしくは統括団体負担であるべきと考えますが、見解をお聞かせください。また、これまで学校教育下で賄われてきた費用についても確保が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○答弁要旨○
地域展開後に学校教育活動で使用する楽器などの用具は、引き続き学校の備品として維持管理を行うこととしており、更新や修繕費用は学校の予算で対応いたします。プレみやクラブが学校施設を使用する際に、これらの学校の備品を共用する場合の具体的な使用方法などについては中学校などの意見を聞きながら調整を行っています。その際、プレみやクラブの会費をできるだけ低廉なものにするため、無償で使用できるようにいたします。ただし、プレみやクラブがそれらの備品を使用している際に、備品を破損させた場合には、プレみやクラブが弁償することになります。一方、地域展開後に学校教育活動で使用しない楽器などの用具については、学校から市等へ移管し、プレみやクラブに貸与することも視野に入れて検討を進めております。その際の更新や修繕費用については、用具の種類や数量の現況調査を行いながら必要となる経費の額を算定しているところであり、それらを踏まえてプレみやクラブの会員にはできるだけ負担が軽くなるよう、秋頃を目途に今後の在り方を示す方向です。
④統括団体が指導者バンクを立ち上げる考えが示されていますが、指導を担ってくださる可能性のある方にどのようにアプローチするのか、具体的な方策をお聞かせください。
○答弁要旨○
指導者の確保については、これまでにも市として文化芸術団体、市内の大学関係者等に協力を呼び掛けてまいりましたが、統括団体である公益財団法人西宮スポーツセンターへの補助の予算が認められ次第、西宮スポーツセンターにおいて人材バンクを速やかに開設する準備を進めるとともに、公益財団法人西宮市文化振興財団とも連携し、関係団体に対して一層の働きかけを行ってまいります。また、吹奏楽を含めプレみやの指導者には資格等の所持を必須とはしておらず、子供たちの活動を支援し、見守る、サポーターとしての参画も可能であることから、大学生や小学校の教員、退職教員をはじめ、広く地域の人材にご登録いただけるよう理解の促進を図り呼びかけてまいります。
■意見・要望
学校での活動が前提という点については、概ね考えを共有できたかなと思います。しかし、2点目の「中学校ごとにプレみやクラブが必要」という論点については、見解の相違がありました。
ご答弁では「必ずしも中学校単位で開設されなければいけないとは考えていない」とのことでしたが、それで本当に良いのでしょうか。1校1クラブじゃないなら、2~3校に1つ開設されればよいのでしょうか。資料4を改めてご覧いただきたいんですけど、70人以上もいる部活が、2~3校集まって、どうやって練習するんですか。例えば隣り合っている甲陵・甲武・瓦木、3校合わせたら235人。このうち2校の組み合わせだとしても、優に100人を超えるわけで、到底、音楽室には入りきりませんよ。少子化を大きな背景としている地域展開の取り組みを、これだけの人数に恵まれた本市の吹奏楽にそのままあてはめること自体、そもそも無理があります。
人数以外の観点でも、各校を拠点とした活動がなくなるなら、今後、入学式でも卒業式でも、生演奏は無くてもいいと。地域のおまつりで吹奏楽の演奏が無くなってもいいと。市長・教育長はそうお考えなんでしょうか。中学生たちの活躍を楽しみにしている地域の方がいて。演奏を聴きに来た保護者も自然と地域の行事に参加して。中学生たちは周囲の方々に育まれていることを実感して。いささか情緒的すぎるかもしれませんが、そんな貴重な機会を失ってしまうことは、ただただ残念です。中学校区に一つの吹奏楽活動さえ担保できないなら、「音楽と出会うまち西宮」というキャッチフレーズも空しく響きます。中学校で楽器を始めたこども達が、高校生になり、大学生になり、大人になっていくわけですから、これは中学校の部活動に限った問題ではありません。
学校教育と課外活動を切り分ける、だからこそ校区に縛られない、といった地域展開の原則的な考え方は私も理解しています。ご答弁は、そうした考えをベースとしつつも、移行期の生徒たちが安心して活動を継続できるよう取り組む、直営クラブの設立について検討する等、一定、寄り添ったご回答もいただきました。その姿勢を信じて、再質問は行いませんが、どうか、実情に応じた形で今後の取り組みを進めていただきたい。そのためには1校1クラブを原則とすることが、最も有効であると指摘し、次の論点に移ります。
楽器については、一定、整理した形でご答弁いただき、学校教育活動で使用するものは学校予算で対応する、それ以外の楽器についても、プレみやクラブ会員の負担をできるだけ軽くする、という考えをお示しいただきました。本来、一次募集を始める前に取り扱いを決めておくべきでしたし、そうすれば関係者の混乱を招くことも無かったかと思いますが、秋ごろをめどに今後のあり方を示す方向とのことですので、早期に具体的な内容を提示していただくよう、要望しておきます。
指導者については、広く地域の人材にご登録いただけるよう呼びかけていくとのことでした。吹奏楽に限らず、実際に地域展開を軌道に乗せることができるかどうかは、この部分にかかっているといっても過言ではありません。先ほどは大川原議員からも、大学との連携についてご提言がございましたが、是非あらゆるチャネルを使って周知・募集を行っていただくよう要望します。
今回、私が申し上げたかったのは、「吹奏楽を優遇せよ」ということではありません。それぞれの活動、それぞれの地域には、固有の課題があり、地域展開は、それぞれの特性に応じた形で進めるべきである。これが、私の主張です。全ての活動を無理やり同じ方針へあてはめるのではなく、現場の実情をふまえて対応いただくよう要望します。
人事異動の考え方
【2025年6月定例会 一般質問④】
市役所組織のパフォーマンスを高め、市民サービスを向上させるためには、個々の職員が前向きに職務へ取り組み、それぞれが持つ特性を最大限に活かすことが重要です。人事制度はそれを実現するための手段であり、採用・研修・給与・評価など、多くの要素が相互に関連し合っています。本来は人事制度全般について課題を整理し、統一的な仕組みを構築するべきですが、今回は論点を絞り、人事異動の考え方について取り上げます。
行政職のキャリアについて、多くの方がイメージするのは、次のような流れではないでしょうか。入職からしばらくの間は、3~4年ごとに部署を異動し、様々な業務を経験する。30代半ばくらいから係長に昇進していき、マネジメントの要素が加わっていく。この頃から、財務畑・福祉畑などと呼ばれるように、少しずつ各自の専門分野が見えてくる。そして40代で課長になる際は、概ね、それまでに経験してきた部門を担当する。管理職としての異動は局内が中心だが、局長等の職位では、市役所全体のマネジメントという観点から、全く別の部門へ異動することもある。こうしたキャリア形成については、職員の間でも一定のモデルケースとして認識されているのではないかと思います。
資料5をご確認ください。本市では、人材育成基本方針の特別編「キャリアデザイン」(以下、方針)が策定されており、この中で、キャリアの概念図が示されています。しかし、実際にはこの内容と異なるキャリアを歩んでいる職員も多いのが実情です。方針には「3~5年を目途に係長までに3ヶ所以上の職場へ人事異動」とされていますが、資料5の表に示した通り、5年を超えて同じ課に在籍している3級以下の職員が多く存在します。長期在課によるモチベーションの低下や成長機会の喪失、業務の属人化といった弊害は係長以上の場合でも生じますし、今回の集計では昇任すると在課年数がリセットされているため、同じ課内で昇任する例を含めれば、長期在課の状況はより深刻であると言えます。また、係長までに経験が必要な業務として、事務職では「庶務/窓口/事業企画・調整」、技術職では「設計・施工・管理」「調査・企画」「審査・指導」の3類型が示されていますが、これらの一部しか経験できていない、キャリアに偏りのある職員も存在するようです。
また、キャリア形成を考える上での重要なポイントの一つが、「ゼネラリストか、スペシャリストか」です。方針では「各業務においてオールラウンドに対応できるゼネラリストの養成を行っていくことを基本」とする一方で、「卓越した知識を備え、一定の分野に特化したキャリアを積んだスペシャリストの養成も必要」とし、そのスペシャリストについても「特定の業務に限らず人事異動を通じて様々な部署に配置する」と記載されています。この定めは玉虫色であると言わざるを得ず、「あなたはゼネラリストですか、スペシャリストですか」と聞かれて、明確に答えられる職員がどれだけいるのか、疑問に思います。ゼネラリストが基本というわりには、先ほどご紹介した通り、課長の中には局内でしか異動していない方や、係長時代からずっと同じ部で働いているという方も多いのが実情です。一方で、一定の領域で経験を重ねた課長が突然、全く異なる分野に異動する例もあり、ケース・バイ・ケースの側面があるとはいえ、考え方が整理されていない印象を受けます。方針には係長以上の人事異動について「組織の活性化のためのジョブ・ローテーションを実施」としか書かれておらず、この曖昧さが現在の状況につながっています。
働く人が、高いモチベーションを保つには、組織からどのようなことを期待されているのか、明確になっていることが欠かせません。その期待と自らの特性や思いが合致していること、期待に応えるための能力を習得する機会が確保されていること、これらが職員のエンゲージメントを高めます。逆に、組織から何を求められているのか分からない、なんでこの部署でこの仕事をさせられているんだろう、と思うようになってしまえば、職員ひいては組織の生産性が、著しく低下します。資料5をご確認ください。株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「異動決定時のコミュニケーションに関する調査」では、「異動理由を理解していた」もしくは「異動後の役割に関する説明や情報提供があった」人ほど、異動後の適応感が高い傾向にあると報告されています。その下には、本市職員に対して2020年度に実施された「職員の働き方に係るアンケート」の回答を抜粋して掲載しました。「異動に対する市全体の方針が不明。場当たり的な異動が多い。」「市の人事異動の考えが“ジェネラリストの育成”より“組織(課)の安定”に偏りすぎているではという疑いが強い。自身も入庁から14年目でまだ2つの職場しか経験していない。」「若手のうちに予算等を扱う総務的な職場を経験して市役所内部業務の基礎を学びたかったが、窓口職場に長年配置され、現在もよく分からないまま係長業務にあたるという恐ろしい状況になっているので、計画的な人財育成をしてほしい。」「キャリアプランに関係なく、穴が開いたところに安易に人材を充てている印象」等、ここまで述べてきた内容を裏付ける、職員のリアルな声が寄せられています。本市の人事異動については、具体的な基準の整備が不十分であること、既に存在する基準についても運用が厳格でないこと、それらに起因した、人事異動やキャリア形成に対する納得感や信頼度の低さが課題と言えます。
資料5をご確認ください。他の自治体では職員のキャリア形成に関して、明確な指針を示している例が複数存在します。中でも注目を集めているのが、愛知県豊田市の「トータル人事システム」で、評価システム、採用・配置システム、能力開発システム、報酬システムを体系的にまとめています。この中で、ジョブ・ローテーションについては、単に部署を異動するだけでなく、市の業務を4系統・17分類に区分して、どの職員が、どの業務を経験してきたのかまで台帳で詳細に管理し、人材育成につなげています。そのうえで、35歳頃を境に管理職系統と専門職系統に分かれる、複線型の人事制度となっています。他にも、ジョブ・リクエスト制度として、人材を必要とする部署が庁内へ求人を行い、その部署への異動を希望する職員が応募して面接を受けられる仕組みが設けられるなど、職員の意向に沿ったキャリア形成が強く意識されています。また、神奈川県はキャリア選択型人事制度を導入し、職員の主体的なキャリア形成を目指しています。人事異動についても明確な指針が示されており、異動の理由は当該職員へ説明するよう要綱で定められています。なお、これらの事例については、2023年度総務常任委員会の管外視察報告書を参照しております。
①人材育成基本方針の特別編「キャリアデザイン」を改訂し、人事異動に関する考え方をより具体的に示すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
本市の人事異動の考え方につきましては、「西宮市人材育成基本方針・特別編」に記載しております。特別編においては、「自治体行政全般に通じ、特定の視点に偏らない総合的な判断力をもつ人材を育成することが重要」とし、「各業務においてオールラウンドに対応できる職員、ゼネラリストの養成を行っていくことを基本」としております。ゼネラリストを養成するための方策として、概ね3~5年間を目途に他の部署に転任すること、係長昇任までに、できる限り3箇所以上の職場を経験すること、また、同じ課内にあっても、業務をローテーションすることで業務経験を広げることなど、職員のキャリア形成に向けた具体的な取組みを示しております。一方で、特別編では、市の業務が多岐にわたることから、ゼネラリストの養成を基本としながら、スペシャリストについても記載しており、市の考えが曖昧と捉えられかねない状況であることは議員ご指摘のとおりです。昨今の転職志向や、採用上限年齢の引き上げにより、本市に採用される職員の、採用前の職務経験が多種多様となることが今後も見込まれており、従来の「比較的年齢の若いうちに採用し育成する」との考え方自体の再検討や、人事評価をはじめ、他の人事施策の課題も含め考え方を整理する必要があると考えております。また、係長級以下の職員に焦点をあてた記載が多い一方、課長級以上の職員を対象とした具体的な取組みを示すことができていないことから、特別編を改定することについて検討が必要と考えております。
②人材育成基本方針の特別編「キャリアデザイン」で示した異動の基準について、例外をできる限り廃し、厳格に運用すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
人事異動の実施にあたっては、各課の業務を円滑に進めるために、必要とされる能力や知識・経験を持った職員を配置するよう考慮するほか、「所属の意向」「本人の意向」「人材育成の観点」といった要素も考慮して決定しております。また、「本人の意向」を把握するために、事務・技術職等の係長級以下の職員を対象とした「自己申告制度」を実施し、各職員の状況を把握するとともに、職員自身のキャリア形成に寄与するよう努めております。一方で、税務や情報関係など知識や経験の習得に期間を要する専門性の高い業務や、業務上の都合などにより、結果として同じ職場に長く在籍する職員が一定数おり、「係長昇任までにできる限り3箇所以上の職場を経験させる」ことが出来ていないなど、特別編で示す考え通りの人事異動が徹底出来ていないことは、議員ご指摘のとおりです。職員のキャリア形成の観点に加え、個々の職員の適性を見定めるためにも、特に経験の浅い若手職員に対しては、様々な部署・業務を経験させるべきと考えております。指摘いただいている状況は出来る限り解消すべきであり、所属や本人の意向を尊重しつつ、これまで以上に長期在課の解消に重点をおいた人事異動の実施に努めてまいります。また、人事配置の検討に際し、現状、各職員のこれまでの業務経験にかかる詳細な内容を一元管理することが十分に出来ているとは言えない状況であり、他市の運用状況も参考に、その手法について検討してまいります。
③人事異動の際は理由の説明を義務付けるとともに、希望する職員については、人事部に対する確認や質問の機会を設けるべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
○答弁要旨○
「人事異動の際は理由の説明を義務付けるとともに、希望する職員については、人事部に対する確認や質問の機会を設けるべき」とのご意見につきましては、人事異動に対する職員の納得感や信頼度を高めるための効果的な手法であることは、市としても認識しております。現状の取扱いとしましては、人事課に直接申出があった職員に対しては、可能な範囲で対応しているところですが、センシティブな内容を伴う場合など、異動理由を詳らかに説明することが困難な場合もあるほか、異動した職員だけでなく、異動しなかった職員に対しても説明する必要が生じ、全体として相当の事務量が発生することに繋がります。人事異動の理由を職員に説明することは望ましいことであると考えておりますが、現在の人事担当課の体制で対応することは非常に困難であることから、仕組みとして導入することについては慎重に検討する必要があると考えております。
■意見・要望
まずは「他の人事施策の課題も含め考え方を整理する必要がある」「特別編を改定することについて検討が必要と考えている」とのご答弁、前向きに受け止めました。また、「長期在課の解消に重点をおいた人事異動の実施に努める」「各職員の業務経験にかかる詳細な内容を一元管理することが十分に出来ているとはいえず、他市の運用状況も参考に、その手法について検討する」とのご答弁も高く評価します。ぜひ、具体的な取り組みを早期に進めていただくよう要望します。
「異動理由の説明・開示」については「効果的な手法であることは認識している」としつつ、「現在の人事担当課の体制で対応することは非常に困難」とのことでした。人事部は各部署との間で、必要な職員数などを折衝する立場であり、自らの部署に人数を手厚く配置することは、気が引けるのかもしれません。しかし、それによって全職員のフォローに手が回らず、モチベーションの低下や離職を招いてしまっては、本末転倒です。本来、人事部は定型的な業務より、人事制度の構築・改善など、組織運営に資する前向きな取り組みにこそ注力するべきです。それを可能にするための十分な体制を構築するよう要望します。
こうした重要な部署に人員を充当するためにも、2点目のシルバーに関する質問で申し上げた通り、外郭団体への職員派遣は極力控えるべきですし、3点目に取り上げた観光事業のように、優先度の低い事業は縮小していかなければなりません。先日も事務職の新規採用について、実施の有無を含めて未定と公表したことで大きな波紋を呼びましたが、本市の組織運営は場当たり的と感じる局面が多く、長期的かつ経営的な観点が欠けています。人事制度は組織の根幹であり、本日取り上げた人事異動のみならず、会派として、今後も幅広く提言していくことを申し上げ、私たかのしんの一般質問を終わります。